NPO法人 子どもの虐待防止ネットワーク・かがわ
ニュースレター  No.10

<キレる>子ども と <キレる>心
の 世代間伝達


慶応義塾大学医学部小児科  渡辺 久子 氏

 子どもたちが“キレる”。“キレて”衝動的に、身近な親、先生、友達を刺す。信じがたい事件の多発に胸がふさがれる。
 子どもたちから、子どもらしい由由な時間、空間、仲間が奪われて久しい。諸外国の専門家からは「日本の教育や受験戦争は児童虐待。子どもたちはハッピーなの?」と言われてきた。学力優先の社会で、子どもらはぴーんと気がはりつめている。もっと自由に好きなことをして遊びたい。仲間と切磋琢磨し、しなやかな心を鍛えたい。比較や競争を強いられる子の心は自ずとキレやすくなる。“キレる”子は、“キレやすい”社会の反映ではないだろうか。
 ある家庭内暴力の子の父親のエリートサラリーマンが、診察室で”キレて”しまった。「全国4万人の小学生が我慢してクリアしている中学受験。なのにうちの子は不登校、家庭内暴力とは何だ!」子どもは長年、猛勉強でめざした私立中学受験を高熱で失敗し、その直後から暴れている。どなる父親に私は答えた。「全国4万人とは、まるで塾の広告の鸚鵡返しですね。一人息子が思春期の入口で”おれの時間を返してくれ”と叫んでいるのに。せめて父親のあなたが、この子の痛みを感じ、求めている生活を理解してやったら」。父親は反省し、学歴主義をやめた。しかしこのキレる父親を目の当たりにし<欲しがりません、勝つまでは>の戦争中のメンタリティーが、今でも脈々と生きているのを感じた。世間の尺度にとらわれた我慢は、いかに人のその人らしさや心の成熟を阻み、家族や周囲まで巻き込むか。

『母子臨床と世代間伝達』(金剛出版)より転載



子どもの虐待防止セミナー
 平成14年10月から11月末までの間の4日間、8講座のセミナーを実施し、総勢65名の皆さんが参加されました。
 みなさんの虐待防止に対する関心の深さと前向きな気持ち、講師の方々の熱意で実のりある講座となりました。ありがとうございます。

 
9:30 11:30
 
12:30 14:30
10・28
(月)
10:00〜15:00
オリエンテーション
カウンセリング講座 1
   育児カウンセラー
          荒谷 節子 氏
  講義「家族機能について」
  香川大学 教育学部 教授
           岩月 謙司 氏
  (この講義は15:00に終わります)
11・6
(水)
 9:30〜14:30
講義「香川県 子どもの虐待」
   精神科医
          橋本 美香 氏
  講義「保健師からのメッセージ
    〜育児支援から母親支援へ〜」
  高松市保健センター 保健師
            松原 文子 氏
11・20
(水)
 9:30〜14:30
講義「子どもの虐待と少年非行」
   瀬戸内短期大学
     養護教育学科 教授
          草間 徳康 氏
  講義「CPNAの活動と子ども虐待の現状
   −電話相談から見えてくるもの−」
NPO法人
子どもの虐待防止ネットワーク・あいち理事
            山田 裕子 氏
11・28
(木)
 9:30〜14:30
カウンセリング講座 2
講義「話しの聞きかた」
    カウンセラー
          溝淵 由理 氏
  グループワーク
    グループワーカー
         荒谷 節子 氏
         溝淵 由理 氏
      ※このセミナーは高松市市民活動支援補助金により行なわれました。

セミナー受講者の声より…

カウンセリング講座では、寄り添って聴くということが、カウンセラーや相談員だけでなく、日常生活にすぐに活かせるものだと知り、セミナーで教わったことを家で使っています。子どもとの関係が少しよくなったのを感じています。
自分たちの地元で電話や相談ができ、助けていただける場所があるのを知り、力強い思いがしました。
香川県の報道にのった虐待の事例をずっと聞かせていただいたが、痛ましく、お聞きしただけなのに、胸が詰まって涙が止まりませんでした。このような子どもたちが減っていくことを願っています。
愛知の活動をお聞きし、香川でも、もっとこういう活動が盛んになればと思った。私も出来ることで参加したいと思います。
たかが電話1本で何が出来るのだろうと、いぶかしく思っていたが、人の命を救うことも出来るんだということを知り、電話相談の認識を改めました。
子どもたちが非行にはしる背景に、虐待がおおいに関係していると知って驚きました。風船を使って子どもの心を説明してくれたのがよく分かりました。心がストレスでいっぱいな時はすぐ割れてしまうが、余裕があるときはなかなか割れない。テープを貼ると刺しても割れず、私たちがテープになることが大切なのだなあと感じました。
家に帰り、自分がしてきたことは、虐待ではなかったか…と話し合いました。
自分を安心して出せ、聞いてもらえるところなんだと分かり、肩の力を抜いて話せました。
子どもに問題が出た時、その子だけを見るのではなく、家族全体を見ていかなければ解決できないのが分かりました。夫妻の間のことも大いに関係してくるのを知り、自分の生活を見なおしてみる機会になりました。
カウンセリング講座で、人を認め誉めることを自分たちで実践し、こんなに大切なことだったのかと改めて感じました。



掲示板

講演会のお知らせ(PDFファイル版チラシ)
講 師 渡辺 久子 氏
テーマ <キレる>子どもと<キレる>こころ 親として、今、できることは?!
日 時  平成15年3月8日(土) 午後1:30〜4:00(会場1:00)
場 所 香川県立医療短期大学 3階大講義室
参加負担金  一般/前売1,000円 当日1,500円 学生/前売500円 当日1,000円
後 援 香川県 香川県教育委員会 高松市 高松市教育委員会 牟礼町 牟礼町教育委員会 高松法務局人権擁護部 香川県社会福祉協議会 香川県PTA連絡協議会 日本赤十字社香川県支部 朝日新聞社高松支局 四国新聞社 読売新聞高松総局 NHK高松放送局 西日本放送

問い合わせ先
TEL/FAX 087‐888‐0758 (火10:00〜14:00 事務所)
TEL/FAX 0877‐49‐1545
TEL     090‐7620‐9538 (講演会当日問合せ)
講演会参加申し込み(前売扱い)(先着順)  託児申し込み(先着順)
   往復葉書/FAX/Eメール  いずれかの方法でお申し込みください。
宛先 〒761−8074
香川県高松市太田上町74−5
NPO法人子どもの虐待防止ネットワーク・かがわ
FAX 087−888−0758    Eメール
 〇参加申し込み―ご住所〒・お名前・TEL・FAX を書いてお申し込みください。
 〇託児申し込み―子どものお名前・呼び名・年齢(〇才〇ヶ月)・
             アトピー等気になることがあれば、お書きください
              ※ 参加負担金や託児については折り返しご連絡致します。

定例会のお知らせ

場 所 香川県高松合同庁舎 (高松市文化センター西隣・2階会議室)
日 時  2月13日(木)10:00〜12:00
テーマ 『児童虐待からの回復』
講 師 精神科医   小笠原一能 氏
 定例会は毎月第2木曜日に9:30〜12:00まで、4月以降も行っています。興味のある方は、お問い合わせ、ご参加ください。参加申し込みは事務所まで

ホームページ   http://www7.ocn.ne.jp/~kcapn/

ありがとうございます (ご寄付をいただきました) (敬称略 五十音順)
 荒谷節子 エーザイ株式会社 木下麻奈子 草間徳康 土居真実
 ちゃかぽこじゃぱん 橋本美香 溝淵由理 堀田佳美


電話相談 一人で悩まないで… 秘密は必ず守ります。 子どもの虐待ホットライン・かがわ TEL 087-888-0182 火曜日10:00〜14:00

特定非営利活動法人 子どもの虐待防止ネットワーク・かがわ
ニューズレター No.10    2003年 発行
事務所 TEL/FAX  087−888−0758(毎週火曜日午前10時〜午後2時)

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